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Gセンサーの計測をするの巻

このページの内容は BNR34 (と記事のごく一部は BCNR33,BNR32)で有効です。
 背景(長いです)。
 ぼくのクルマは「アテーサをいじる(FR化など)」のとおり 標準車+VspecII純正アテーサユニット+機械式LSD+アテーサコントローラ という組み合わせで、これでサーキット走行をしてるんですが、なんか四駆離れが悪いんです。
 GT-Rなど自動四駆車両は通常、コーナー入り口で四駆になって安定制動を → ターンインで四駆をゆるめて曲がりやすく → アクセルオンでテールスライドを押さえるために四駆を調整し → 脱出時にはパワーロスとアンダーステアを押さえるために二駆に近づけて みないなことをするんだと思うんですが、ぼくの先述の組み合わせだとコーナー入り口から出口までずーっと四駆のままらしく曲がんないわ脱出遅いわで、楽しくないしタイムもずいぶん損してます。
 以前の R33 Vspec+機械式LSD+アテーサコントローラ だったときはこんなこと全くありませんでした。
 このR33+LSDの時はアテーサコントローラ無しではテールスライドがひどくてほんとFR車みたいな挙動だったんですけど、R34のこの状態ではアテーサコントローラをオフにしても全然問題なくって、逆に前後方向のG値を下げるぐらいの方が先述の四駆離れの悪さも少し収まるぐらいなんです。
 なんかおかしいです。

 んで原因に疑ってるのは、

1. R34 VspecIIのアテーサユニットがアクティブLSDと絡めたそういう仕様である
2. アクティブLSD不良エラー(標準車なので当たり前)の状態をごまかして使ってるため、一般走行では問題なくてもスポーツ走行では不具合が表面化(?)する
3. Gセンサーがなんかおかしい

の3点。

 困ったなあって思ってたら、有名チューニングショップオーナーのブログで、R34にR33のGセンサーを利用するとイイという記事を発見です。
 R33のGセンサーは12まんえん、R34は4まんえんで、調べるとR34はN1レース車両用(ディーラで買えたVspecN1とは別)にニスモ扱いのスペシャルGセンサーが設定されてたりして、R34のGセンサーはコストダウンのため手を抜いた疑惑が芽生えてきました。

 ってことでさっそくR33用Gセンサーをヤフオで落札、3まんえんなり。
 相手は中古部品業者だったんですが、Gセンサーは衝撃に弱いとはいえ巨大な箱に大量緩衝材、中にまた箱+緩衝材みたいなロシア民芸品的厳重梱包で、届いたときには家族で笑いました。
 たぶん過去に壊したことがあるんでしょうね。ナムー。


梱包とセンサー
 Gセンサーは、センターコンソールを外したサイドブレーキの後方あたりについてます。
 写真はR34で、下が助手席、上が運転席側です。
 前・後・全部滑りがそれぞれちゃんと関知できるよう車両の中心に付いてるんでしょうね。
 通常はこれの後ろ側にエアバッグのセンサーもつきます(捨てた)。


センターコンソール下
 センサー比較。
 左がR33で、右がR34のものです。
 R33のには衝撃でセンサーがダメになると赤く変色するインジケーターがついてて、たぶん赤いオイルの中でなんかが転がるような感じの機械式、R34は半導体式だと思われます。


R33とR34のGセンサー
 流用するには、正しくフロアに固定できなければなりません。
 ってことでとりあえず乗っけてみました。
 R33センサーの方向もよくわかりませんがとりあえずダメ、なんか考えないと。


乗せてみた
 なんかソレっぽいR33用の「センサーステー」を買ってみました。
 700えんぐらい。
 全く付きません(涙)。


センサーステー
 灯台もと暗し(違うかも)。
 どうしたもんかと酒飲みながら眺めてたら、R34センサーのもっと前方に、なんにも使われてないボルトを発見。
 あ・や・し・い。
 センサーをあててみたらぴったりでした。
 [4]のセンサー向きは間違いでしたね。
 R34はこの部分はカップホルダーですけど、そーいえばR33は使えないコインホルダー(段差で小銭が飛び散る!)と化粧パネルと用途不明な薄い小物入れがあってこのセンサーをよけた作りでした。

 R33とR34の車体が共通なのは聞いてましたが、まさかこんなとこまで同じとは。。


フツーについた(驚)
 計測をどうするかですが、今んとこあんまり役立ってませんけど DL1(外部リンク) という100Hz(1/100秒)のデータロガーを持ってるので、各Gセンサーの電圧をそれに記録していくことにします。
 コンパクトフラッシュカードに保存されたデータをパソコンで比較検討(?)するって感じ。


データロガー DL1
 ってことで計測のための配線。
 ロガーはトランク内につけてるので、そこに一番近い、リヤシート裏のアテーサユニットに入るラインを分岐して拝借することにしました。
 Gセンサーの出力は[前後Gセンサー1][前後Gセンサー2][横Gセンサー]の3値あって、なんで前後が2つもあるのか前から疑問だったので、ついでにこれも調べます。



アテーサユニットに配線
 R33 Gセンサーへの結線ですけど、2コあるコネクターのうち1コはそのままつながるんですが、もう1コは切り欠きがちょびっと違って挿せないようになってます。
 R34とR33では配ピンが異なってて誤挿入防止の配慮なんだろうと思いきや、それぞれの整備要領書を見ると、何度確認しても全く同じ。
 ちきしょー。
 ってことで車両側コネクターのデッパリをがっつりカットしどっちのセンサー側コネクターにも挿せるようにしました。
 コネクター自体を交換する方針の方(最初はぼくもその予定だった)向けにあとからピンがわかんなくなっちゃわないよう裏側の写真を載せときます。

R34用GセンサーコネクターR33用Gセンサーコネクター



車両側コネクターを加工
 まずは別々の計測でも比較的状況をあわせやすい、一般道で普通タイヤ(RE01R)をはいた状態でブレーキをかけ、Gセンサーでその出方を記録。
 グラフはR34センサーで、黒がロガー内蔵Gセンサー、赤がその純正センサーです。
 重ねが結構テキトーなのでちょっとアレですけどこの部分からは、車高や路面の傾きによりますが0G状態でGセンサー出力が約2.45V、0.6Gごとに1V変化するって感じですかね。
 仮に0Vまでリニアなら約1.5Gまで計測できる計算です。

 R34のGセンサーは計測できる範囲が狭くてSタイヤのフルブレーキだと値が張り付いてエラーになる、なんてことを期待(?)していたため、正直言ってこれは予想外。
 過去数回の走行記録ではSタイヤでも1.2G+α程度の減速にしかなってないから充分センサーの範囲内なんです。。。

 あと、グラフにはありませんが、先述の2つある前後Gセンサーは全く同じ値でした。
 わざわざ別電源で動く独立した仕組みなので、それも併せて考えると、お互いのセンサーが壊れてないかのチェックが目的みたいです。


R34センサーでブレーキ
 同じ感じでR33センサーも計測。
 取り付けの水平・垂直をR34のセンサーと全く同じにはできないのでその分だけ出力を0.05Vずらしてありますが幅とかは全く一緒のグラフです。
 R33センサーはR34と計測範囲が異なるのかも!?という期待もあったんですが、これまたショックなぐらい一致してます。


R33センサーでブレーキ
 ほんとに0Vまでちゃんと出力すんのかぁ?な疑いをはらすためR34センサーを直接シェイク(笑)。


センサーをふりふり
 その時のグラフがこれ。
 黒が前後Gセンサー、赤が横Gセンサーです。
 ぴったりと0Vになることはあんまりありませんが、リニアかどうかはわかりませんけどおおむねきっちりフチまで結果を返すようです。
 がっくし。。


ふりふりのグラフ
 何度走ってもR33,R34のGセンサーの違いがわからないので、また配線が増えてめんどくさいんですが両方のセンサーを同時に計測することにしました。
 前後Gセンサーだけの計測と決めてラクをするなら、コネクター2つに分けられたGセンサーAssyはハコの中ではそれぞれ独立してるので、1つのコネクターをR33センサーに、もう1つをR34に、ってつなげれば既存の計測用配線がそのまま使えていいのですが、そうするとそれぞれのGセンサー値があわずアテーサがエラーになりABSが効かなくなるので急制動でタイヤにフラットスポットができてイヤーンかもなのと、ここまできたらできる限り実際の状況に近づけたい、ということで重い腰を上げました。

 コネクターのピン配列は写真の通りで、R34センサーの写真ですけどR33でも全く同じです。
 向きに注意。

 2つのセンサーを車両に固定し、1つはそのまま純正ハーネスに接続します。
 もう1つは、電源・アースは車両ハーネスから分岐して、シールドは無視、各センサーはロガーにというように全く独立して動くようにして、それぞれを計測するわけですな。


センサーのピン配置
 ピンへの接続は、スピーカー用の平型端子を使ってみました。
 いつもの無線機屋でカバーとの組で15えんってのを発見。
 ほどよくたくさん買ったので [インジェクターの洗浄をする] も6本同時にできちゃいます(^^)。
 また線材にはアヤシげなものじゃなくって自動車用配線を用いました。


平型端子で接続
 まずは通常通りR34のGセンサーを車両に接続し、R33センサーは勝手に動いてるだけな状態に。
 それで計測します。


2センサーを同時に計測1
 アテーサにつながってるかどうか、線材の質や配線シールドの有無などで計測に違いがあるとつまんないので、接続を逆にした計測も行いました。

 ただ計測結果を見るとそこまでする必要はなかったみたいでした(^^;)。


2センサーを同時に計測2
 まずは停止状態で比較。

 グラフはエンジンオフ(IGNオン)で、黒がR34、赤がR33の前後Gセンサーです。
 これまで同様グラフは幅は同じですが縦軸の位置は異なります。


エンジンオフで比較
 今度はエンジンオンの停止状態。
 電源電圧が変わる(?? 未計測)からか中立位置がずれるので[18]からもちょびっと縦軸をずらしてます。

 黒線のR34センサーはエンジンの振動をそれほど拾いませんが、それに対し赤線のR33センサーはかなり「揺れてる」ことがわかります。
 R33センサーは確かにシビアな出力という感じがしてきました。


エンジンオンで比較
 次は実際にクルマを動かしての計測です。
 そこら辺の私有地(タテマエ)で0-100km/hやフルブレーキ、スラロームなど様々な走行での計測を行いましたが、何度やってもやっぱり両センサーの出力には明確な差はみられません。
 だったらそれぞれが複合する、サーキットのような高負荷条件でなら違いがあるんじゃないかと思い、別の装置の評価もかねて試験走行をしてきました。
 気温30℃前後・ドライ・Sタイヤです。

 グラフ(大サイズ)がその時のある1周分の、前後Gセンサー電圧。
 相変わらず黒がR34,赤がR33ね。

 [19]のように振動を多く拾うR33センサーは線の幅が幅が「太く」なりやすくて、「おとなしい」R34センサーより百分の数Gほど多くアテーサユニットに認識されてる可能性はありますが、全体の動きとしてはこの通りもうぴったり。

※ 都合により、「動いてるだけ」センサーの計測用ラインの線材は以前より予備として敷設済みのかなり細めのものに変更しました。そのためか2センサーを重ねるための修正電圧(?)がこれまでと少し異なってます。


サーキットでの前後Gセンサー比較
 次は同じ周回の横Gセンサー。
 こっちもほぼぴったりです。


サーキットでの横Gセンサー比較
 [20][21]の4秒目あたりからのアップで、前後・横センサーを重ねてます。
 黒:R34前後G / 赤:R33前後G / 緑:R34横G / 青:R33横G ね。
 グラフの切り取り位置はどこでもよかったんですが見栄えがするところを選んでみました。
 横方向は低電圧側が車両左側へのG(右旋回)です。
 ぼくがてきとーに追加した灰色の水平線でだいたいの0G位置を示してます。

 まあアップにしてもほんとど同じことなんですが、でもよく見ると青色のR33横GセンサーがR34センサーよりほんのちょっと、百分の2秒ほどなんですけど、反応が早いことがわかります。
 他の多くの位置でもその傾向なんですが、逆に遅いところもありますけど、[16]のようにR33センサーはR34より前方に設置されていることと、R33とR34センサーは上から見るとなぜかびみょーに平行じゃない(進行方向に対してずれている)、ってのが影響してるかもしれません。

 ってことでまとめると次のような感じかしらん。

R33 Gセンサーのアドバンテージ(R34に対して。予想)

1. 微振動を多く拾うことによる「線の太さ」で実加速度に微量の上乗せがあるかもしれない
2. 誤差の範囲と思える程度の反応の早さがある

 まあ要するにそう違いはないってことですな。

 ただそれでも「R33のセンサーはレスポンスが良く」なるという報告がある理由を考えてみました。
 ケチつける気は毛頭ありませんが、センサーの取り付けは非常にシビアですから[1]のブログの写真のようにR34のGセンサーステーにR33センサーをステーごとネジ止めみたいな方法だと正確な向きでの固定は非常に難しいので、停止状態でさえ常にどっかの方向にGがある状態の出力になってるのかも。
 そのためトランスファーつながりの立ち上がりが早い、というか最初からちょこっとつながったままなことになってるのかも。
 前後の傾きだけならいいけど横の傾きや取り付け方向がずれてたら左右それぞれのコーナーで挙動が変わっちゃうかも。
 もしセンサー傾きによる不具合の意味がわかんなければ、地面方向には常に1Gあることを思い出してください。

 結局最初の四駆離れが悪い問題についてはなんも解決してませんから後日もう一度だけサーキットで計測してみます。


比較アップ
 おまけ。

 カップホルダーが使えなくなりますが、R33のGセンサーを純正位置(?)に取り付けててもセンターコンソールがつかえます。
 中はきゅーきゅーすぎてちょっと無理ありますけど。


R33センサーとセンターコンソール

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